AIで書いた小説を売っていいのかを知りたければ、まず各社の利用規約を読むことになります。読んでも、そこには書かれていません。
7社の利用ポリシーを原文で取得し、小説を書いて売るときに関わる項目を1つずつ当たりました。生成物の権利がどちらにあるのか、学習に使われるのを断れるのかは、どの社の利用ポリシーからも読み取れませんでした。読み取れた項目と読み取れなかった項目を、そのまま並べます。
利用ポリシーから読み取れたこと

確かめたのは次の項目です。「読み取れなかった」は「書かれていない」という意味ではありません。別の文書に書かれていることも、こちらが取得できなかったこともあります。
小説を書いて売るときに関わる項目
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| 確かめたこと | 読み取れた社数 | 読み取れた会社 |
|---|---|---|
| 生成物の権利が利用者に帰属する | 0 / 7 | どの社からも読み取れなかった |
| 学習への利用を拒否できる | 0 / 7 | どの社からも読み取れなかった |
| 商用利用が可能 | 0 / 7 | どの社からも読み取れなかった |
| 芸術・創作目的の例外が明記されている | 1 / 7 | Google Gemini |
| 創作・フィクションでも禁止対象になる | 1 / 7 | Anthropic Claude |
| 一度に扱える文脈量 | 6 / 7 | Anthropic Claude・OpenAI・Google Gemini・xAI Grok・Meta Llama・Cohere |
分母は、この記事で利用ポリシーを取得できた会社の数です。「読み取れなかった」は「書かれていない」という意味ではありません。別の文書に書かれている可能性も、こちらが取得できなかった可能性もあります。
権利の話は利用ポリシーの外にある
生成物の権利や学習への利用は、利用ポリシー(何をしてはいけないか)ではなく、利用規約や個別の契約条件の側で扱われるのが一般的です。利用ポリシーを何度読んでも出てこないのは、そもそも扱う文書が違うためです。
これは「調べれば分かる」という話ではありません。会社によって、どの文書のどこに書くかが違います。同じ形で並べて比べられる状態になっていない、というのが実際のところです。
創作をどう扱うかは2社しか書いていない
読み取れた項目のうち、創作・フィクションの扱いに触れていたのは2社だけでした。しかも、その2社は逆を向いています。
片方は創作でも例外にしないと明記している
Anthropic の利用ポリシーは、禁止事項について「架空の設定においても(including in fictional settings)」と書き添えています。フィクションだから対象外になる、という読み方をあらかじめ塞ぐ書き方です。
…including in fictional settings or via roleplay with the model
…フィクションの設定であっても、モデルとのロールプレイによるものであっても同様。
Anthropic Usage Policy — anthropic.com/legal/aup
もう片方は芸術目的の例外を明記している
Google の生成AI利用ポリシーには例外条項があります。教育・記録・科学・芸術上の考慮に基づいて例外を認めることがある、と書かれています。
…may make exceptions to these policies based on educational, documentary, scientific, or artistic considerations, or where harms are outweighed by substantial benefits to the public.
教育・記録・科学、または芸術上の考慮にもとづいて、あるいは公共にもたらす利益が害を上回る場合に、これらのポリシーの例外を認めることがある。
Google 生成 AI の使用禁止に関するポリシー — policies.google.com
例外が「ある」ことと、実際に認められることは別です。誰がどう判断するのか、申請の手続きがあるのかは書かれていません。例外を前提に制作の計画を立てられる書き方にはなっていません。
残りの5社は触れていない
他の5社の利用ポリシーからは、創作・フィクションの扱いについての記載を読み取れませんでした。創作なら許される、とも、創作でも駄目だ、とも読めません。どちらとも書かれていない、という状態です。
この2つの項目はどちらも、禁止事項の条文の中で出てきます。「創作物の商用利用を認めるか」を正面から扱った条項ではありません。創作という言葉が出てくる数少ない場所が、たまたまそこだった、という読み方が正確です。
長さの制約はもう主な論点ではない
以前は「長い小説を一度に扱えない」という技術的な制約がありました。いまは一度に扱えるテキストの量が桁違いに増えていて、長編を通せるかどうかで悩む場面は減っています。
レジストリに載っている範囲
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| 項目 | 件数 |
|---|---|
| 載っているモデル | 417 |
| 提供元の数 | 52 |
| 文脈長が公表されているもの | 417 |
| 学習データの時点が公表されているもの | 190 |
| 提供終了日が公表されているもの | 9 |
時点で取得したデータです。
つまり、詰まるところが技術から規約に移っています。書けるかどうかではなく、書いたものをどう扱ってよいかが読めない、という形の詰まり方です。
いま確認できること
利用ポリシーではなく利用規約を読む
生成物の権利について知りたければ、読む先は利用ポリシーではありません。利用規約や、有料プランの契約条件の側です。会社によっては、法人向けと個人向けで扱いが違うことがあります。
プランによって変わることがある
学習への利用を断れるかどうかは、プランや設定によって変わることがあります。「その会社がどうか」ではなく「自分が使っている契約がどうか」で決まります。ここで並べた項目は会社単位なので、その差は表せません。
規約は変わる
ここに載せているのは取得日時点の原文です。改定されます。出典のURLと取得日を各項目に付けてあります。判断に使う場合は、必ず出典のページを開いて現在の記載を確認してください。
この記事が扱っているのは各社の利用ポリシーに書いてあることだけで、著作権法の解釈は含みません。表に「—」が入っている会社は該当箇所を確認できなかったもので、記載が無いという意味ではありません。
Q結局、AIで書いた小説は売っていいのですか
この記事では答えられません。各社の利用ポリシーからは、生成物の権利についての記載を読み取れませんでした。利用規約や契約条件の側を確認してください。
Q規約に書いていなければ、売っていいということですか
そうとは限りません。ここで確かめているのは「利用ポリシーに記載があるか」だけです。別の文書や、各国の法令、配信先の規定が適用されることがあります。
Q芸術目的の例外があれば、創作なら認められますか
例外を認めることがある、と書かれているだけです。誰がどう判断するのかも、手続きがあるのかも公開されていません。
Q学習に使われるのを断れますか
各社の利用ポリシーからは読み取れませんでした。プランや設定によって変わることがあるため、使っている契約の条件を確認してください。
Qいつ時点の規約ですか
各項目に取得日を表示しています。改定される可能性があるため、判断に使う場合は出典のページで現在の記載を確認してください。